
現役を引退して、早2年・・・
私が最初に出会った ディレクトリサービス は Microsoft Active Directory ではなかった。
原点は ” Novell NetWare 4.11 ”
そこで採用されていた NDS(Novell Directory Services) である。
NetWare 4.11 と NDS という衝撃
NetWare 3.x までのフラットなユーザー管理から、ツリー構造を持つディレクトリサービス へと進化した NetWare 4.x は、当時としては非常に先進的だった。
・オブジェクト指向のディレクトリ設計
・ユーザー、サーバー、プリンタを一元管理
・ネットワーク全体を ” 構造 ” として捉える考え方
NDS に触れたことで、「認証や管理は、単なるユーザー一覧ではなく “ ディレクトリ ” として設計するものだ」という概念を強く意識するようになった。
この経験が、後の Active Directory を理解する上で大きな下地になっていたのは間違いない。
Active Directory との出会い Windows 2000 Server
その後、Windows 2000 Server の登場とともに Microsoft は Active Directory(AD) を世に送り出した。
LDAP をベースにしたディレクトリサービス、マルチマスター構成、グループポリシーによる集中管理。
すこしばかり NDS を勉強してきた立場から見ると、「ついに Microsoft も本格的なディレクトリサービスを出してきた」 という印象だった。
それ以降、現役の 23年間、私は Active Directory ドメインの構築や移行案件に数多く関わってきた。
最も神経を使った仕事 ~ ドメイン移行 ~
AD 関連の業務の中で、特に緊張感が高かったのが サーバーリプレースに伴うドメイン移行だ。
多くの案件では
・ハードウェアを新しくする
・OS は上位バージョンへ
・ドメインは止められない
という条件が付く。
つまり、ドメインを運用しながらの移行が前提となる。
ここで障害が起きると
・認証エラーでログオンできない
・名前解決に失敗し業務システムが動かない
・ユーザー全体に影響が及ぶ
最悪の場合、ドメインの新規構築を選ばざるを得ないケースもある。
そうなれば
・全クライアントの再参加
・各種設定や権限の再構築
・業務停止リスクの増大
・・・と、管理者にとってもユーザーにとっても極めてリスキーな作業 になる。だからこそ、AD の移行案件は常に「失敗できない仕事」だった。
Windows Server 2025 と AD の構造改革
そんな Active Directory に Windows Server 2025 で大きな変化が入ったという。
・新しい ログデータベースの導入
・AD スキーマの拡張
・長年の課題だった 8KB ページ制約の撤廃(32KB化)
この変更は、「AD 史上最大の構造改革」と表現されることもある。
中小規模ドメインの現場感覚として
ただ、長年、中小規模のドメインを扱ってきた立場からすると、
この 32KB化の恩恵を強く実感できる場面は多くないというのが正直な感想だ。
属性が極端に肥大化するケースは稀で設計と運用で従来の制約は回避できていた。現場で最も重視されるのは「新機能」より「安定性」だと思う。
大規模環境やクラウド連携、膨大な ID情報を扱う世界では意味のある進化だとしても、中小規模のドメインでは「静かな進化」に留まるように感じている。
ディレクトリサービスは、今も基盤技術であり続ける
NetWare 4.11 の NDS から始まり Active Directory そして Windows Server 2025 へ。
ディレクトリサービスは形を変えながらも、認証と管理の中核技術 として生き続けている。
多くの移行案件と、胃が痛くなるような夜を経験してきたが、それだけ 現場に深く根付いた技術だったとも言える。
これから AD がどこへ向かうのか。クラウド時代における役割の変化も含めて、静かに見守っていきたい。




