最近、繰り返し見てしまう動画がある。
「アカリとハルキの飛行機チャンネル」の「飛行機制作」シリーズだ。
シアトル在住のお二人が Van’s Aircraft が提供するホームビルト機キットを使い、自らの手で飛行機を組み立てていく。その過程を詳細に記録した長編シリーズである。
プロジェクトは 2020年10月にスタートし、約 5年4か月をかけて完成した。エピソードは 43話(2026年2月18日現在)に及ぶ。
制作の様子
1. 垂直尾翼の制作(エピソード6)
2. バルクヘッドの制作(エピソード12)
3. 主翼の制作(エピソード21)
4. ランディングライトの取付(エピソード21)
5. 胴体中央部の制作(エピソード23)
6. 胴体前部と後部の接続(エピソード34)
7. エンジンマウント(エピソード37)
8. 完成した RV-12iS(エピソード43)
製作機体は RV-12iS(Van’s Aircraft)
キット機制作のプロセスは
・キット(素材)の受け取りと準備
・尾翼、胴体、主翼、動翼の作成
・ワイヤーハーネスのセットアップ
・電子装備品(アビオニクス)のセットアップ
・エンジンのセットアップ
といった実際の工作作業が中心となる。
作業工程が細かく記録されており、飛行機キット制作のリアルなプロセスを、ほぼ疑似体験できる。
特に印象的なのは、リベット作業の多さである。航空機構造の基本を体感できる工程と言えるだろう。
キットの特徴
・主要構造部はキット化されている
・一部の部材はカットや穴あけ加工が必要
・制作に失敗した部材はパーツ単位で再購入可能
・RV-12iS ではグラスコクピットが標準仕様、オートパイロットはオプション
決して “ プラモデル ” ではない。あくまで本格的な航空機構造物の製作である。
必要な工具
制作には一般的な金属加工ツールや電気工作ツールに加え
・ハンドリベッターやエアリベッター(リベット工具)
・クレコファスナー(外板仮止め工具)
といった航空機特有の工具が必要になる。
メーカー提供の組み立て図は丁寧に説明されているように見受けられる。しかし、それでも指定された精度で完成させるには、飛行機構造に関する基礎知識や高いDIYスキルが求められるだろう。
驚いたこと
この動画で強く感じたのはアメリカの制度の柔軟さである。
・個人が飛行機キットを購入できる
・自作機でも耐空証明(Special Airworthiness Certificate)を取得できる仕組みがある
・完成後は通常のレジャー飛行が可能(商業運航は不可)
※PPL は必要
・飛行エリアの制限も比較的少ない
日本の環境を思うと、これはかなり驚きである。
感想
試行錯誤を含めた全工程が公開されている点に、ものづくりの本質を見る。これこそ究極の DIY である。
そして忘れてはならないのが、奥様の協力。長期にわたるプロジェクトを支える家族の存在も、このシリーズの大きな魅力である。
飛行機を「買う」のではなく、自分で「創る」。技術屋として、これほど胸が熱くなる題材はない。
※「アカリとハルキの飛行機チャンネル」のリンクおよび YouTube 動画のキャプチャ画像の公開は、ご本人様より承諾を得ております。