米国 FCC ライセンス 取得

USA
目標に向かって FCC Extra 試験

以前から興味があった FCC(米国連邦通信委員会)ライセンス
試験の対応言語や難易度からみても、ハードルは少々高い。
すぐに米国運用を計画しているわけではないが、米国のコールサインを保有しているという ” 満足感 ” に浸りたい気持ちもある・・・” FCC ライセンス ” について調べていく中で、課題を一つ一つ解決すれば可能性は ” ゼロ ” ではないかも・・・と思うように・・・
今回このチャレンジを備忘録として残すこととした。

※本情報は指定の無い限り 2011年から 2012年の受験体験を基に記述しています。

License Privileges

資格名特徴/操作範囲
Technician Class米国アマチュア無線入門資格
すべての VHF/UHF アマチュアバンド(30MHz以上)で運用可能
80m/40m/15m では CW 運用のみ可能
10mでは CW/音声/デジタルモードで運用可能
最大出力は 200W
General Classすべての VHF/UHF アマチュアバンドおよび、10m~160m を使用可能
※160m/30m/17m/12m/10m 運用可能
最大出力は 1500W
Amateur Extra Class米国アマチュア無線で最上級の資格
許可されている全ての周波数で、最大 1500W までの運用が可能

試験情報

・受験時の年齢や国籍の制限は無い
・郵便物を受領できる米国国内の住所が必要
・FRN(FCC Registration Number) の事前登録が必要
・日本の国家試験のように、申請時の写真は不要
・日本国内で受験が可能
※札幌、仙台、東京、群馬、横浜、名古屋、神戸、岡山、九州、HAM フェア会場他
・試験は VE と呼ばれる資格を持った ARRL ボランティア試験官が管理/監督して実施される
・試験日は土/日曜日が多い 各会場年間で 4回前後実施 ※不定期
・試験は事前申し込みが基本だが、当日申し込み(Walk-in)も可能な場合がある
・試験時間の制限は無い(試験会場を借りている時間内であること)
・問題採点後、不合格であれば、その場で再挑戦できる
・受験料は US$15.00/1日
※不合格時の再チャレンジには更に受験料が必要
・試験は英語で行われる
※辞書の持ち込み不可
・電卓は機能制限はあるが使用可能
・日本の試験とは異なり入門資格から順番に取得しなければならない
※いきなり上位資格は受験できない
・問題は Question Pools の中から出題される(Question Pools は ARRL で公開)全資格で約 1600問
・Question Pools は定期的(4年毎)に更新される
・上位資格でも CW の送受信試験は無い(2007年2月23日以降廃止)

受験時の本人確認書類

・パスポートまたは米国の運転免許証
・日本の運転免許証でも ” 可 ” の場合がある
※事前に試験を受ける VE チームの試験官に確認のこと
・アップグレード試験の場合は現状のライセンスとその写しが必要
※現状のライセンスが手元に届いていない場合は VE チームの試験官に相談のこと

合格レベル

・全ての問題はQuestion Pools の中からコンピュータ抽出により出題される
〔Question Pools と出題数/合格点数〕
・Technician (element2) 391問中 35問出題 26 問以上正解で合格(75%)
・General (element3) 484問中 35問出題 26 問以上正解で合格(75%)
・Extra (element4) 787問中 50問出題 37 問以上正解で合格(74%)

Question Pools の傾向

・英語は中学レベルの読解力があれば問われている内容は判る(頭を悩ます様な長文問題は無い)
・難しい計算問題は出題されない
※単純な割り算、掛け算で解答可能
・インピーダンスや共振周波数を求める計算問題は、おおざっぱな計算で推測可能(Extra)
・法規、安全対策についての問題数は Technician/General と比較すると大幅に減少(Extra)
・法規と無線工学は混在して出題される
・全体的な難易度は日本の各クラスの試験より易しい様に感じる
・Technician Class と General Class の出題問題の難易度の差があまり感じられない
・Extra Class の出題は幅広く実践的かつ専門性が増す
・完全選択式(4つの解答群から正解1つを選択
※ “全部正しい ” や ” 全部誤り ” という選択肢もある
・全ての Question Pools (1600問)を暗記すれば必ず合格できる
・FCC Rules  (法規)は正確に記憶しないと落とし穴がある
※非常通信に関するの問題が多い
・周波数帯やバンドプランは日本と異なるので注意が必要
・サテライト(スペースシャトル)通信、リピーター VoIP他、最新の通信事情問題も出題される
・交流電源、アンテナ(タワー)の設置、高周波の危険性、落雷対策、接地対策等、実践的な問題も多く出題される

受験条件

・郵便物(FCCライセンス)を受領できる米国国内の住所
・FCC が発給する FRN の取得

受験準備

この中で一番の課題となるのが、郵便を受け取るための米国住所の確保
選択肢としては
1) 米国の親戚、友人に郵便の受け取りを依頼
2) 米国の無線仲間に郵便の受け取りを依頼
3) 米国内に私書箱(PO.BOX)を開設
4) 米国の無線クラブに入会(私書箱利用)

選択したのは
・実績の多い ” 4) 米国の無線クラブ ” に入会
・FRN の取得については手順が公開されているので特に問題なし
※FRN (FCC Registration Number) とはライセンス取得、変更申請および再ライセンス申請など FCC へ申請に必要な管理番号

受験スケジュール

・名古屋における 2012年度試験日程(予定)は 2月5日 6月10日 9月9日 12月1日の 4回
※試験は ARRL/VEC NAGOYA VE TEAM が実施
・準備期間に余裕は無いが、受験日はモチベーションを維持できそうな最短の  2012年2月5日(日)を想定
・学習時間が十分に確保できるのあれば 1日で Technician/General/Extra まで一揆に取得(1日で Extra Class まで取得する事を 1 Day Extra と言う)する計画にするが、今回は Technician と General の 2クラスまを確実に取得する戦略とした

※Technician/General Class の試験を受けてから 1~2カ月くらいまでの間に Extra Class が受験できれば効率的だが・・・スケジュールが合わず Extra Class  の受験は 9日9日受験を目指すことにした 2012/2
※NAGOYA VE TEAM は 2016年6月から活動を停止 2016/7

学習方法と所感

Question Pools のダウンロード・和訳

・2011年12月中旬から学習を開始
・ARRL Question Pools として公開されている問題集をダウンロード
※ダウンロードファイルは PDF、WORD、テキストで構成 問題集にメモや必要な和訳を追記することを考慮して WORD を選択
・アマチュア無線運用実績がある程度あれば難しいと感じる問題はそれほど多くない
・FCC Rules (法規)については英文を正確に和訳しないと、解答が導き出せないことがある
・和訳がうまくできないところは ” yahoo翻訳 ” ” Google翻訳 ” ” Infoseekマルチ翻訳 ” 等の翻訳サイトを利用
・和訳は問題や解答全てを記入するのではなく、納得できない言い回しの部分やポイントを記入
・Question Pools の問題数が非常に多いため、できる限り内容を理解したうえでの学習をお勧め
・時間の都合のつく通勤中にできだけ毎日繰り返し学習
・模擬試験問題 (AA9PW Web Site Amateur Radio Exam Practice) を完璧に解答できるようにする
※いつでも 90%以上解答できるようになれば本番でも問題なし
※知らない単語やフレーズについては事前に調べておくと学習がスムーズに進む
単語・フレーズ集

専門用語

電気関連で使用する専門用語はおおむね理解できるが日本での表記が異なっていたり、あまり使用しない表記がある
〔例〕
・コイル: インダクタ
・コンデンサ: キャパシタ
・トランス: トランスフォーマ
・テスタ: オームメータ/マルチメータ
・ブレーカ(漏電遮断器): グランドフォルトサーキットインターラプタ
・Potentiometer: 可変抵抗器
・M型コネクター: PL-259
・Gin Pole: アンテナやタワーの一部分を上げるための臨時のポール

公式と単位(Technician/General)

※Technician/General Class で必要な公式は波長計算、抵抗計算、実効値とインダクタンス係数関連
※デシベル値(電力)は基本値を記憶すること
※長さの単位は Feetとインチを確認

・波長=300/周波数
・オームの法則  E=IR P=IE
・Peak-to-Peak=RMS(実効値)x2x√2
・インダクタンス係数と巻き数の関係 : 巻き数はインダクタンスの平方根に反比例する
・デシベル値(電力)
3 dB  2倍
6 dB  4倍
10 dB   10倍
20 dB 100倍
・1 Feet:    30cm
・1 Inch: 2.54cm

受験その1

Technician/General Class 受験

2012年2月5日(日)受験日当日
・VE 試験官は 8名 受験者は 4名
・最初に VE 試験官の自己紹介 続けて簡単な試験の説明、パスポート等による本人確認、解答用紙の準備(必要事項の記入)、受験料 1200円の支払い試験開始
・A4 マークシート風(コンピュータ採点ではなく手動採点)の解答用紙に解答を黒丸で塗りつぶす
※問題用紙には記入不可 メモ用の白紙を渡される
・Technician Class は 40分程度かけて解答し ” 終了 ” を申告
・その場で 3人の試験官が採点
※判定は ” Passed “ということで General の受験意思を確認される
・続けて General Class の試験に入り約 40分程度時間をかけて解答
※こちらも判定は ” Passed ”
・VE 試験官から Extra Class の受験を勧められたが予定どおりキャンセル
・VE 試験官から CSCE とライセンスの説明受け、サインをして無事試験終了
Thanks NAGOAY VE TEAM !!

受験の所感

・Web の模擬試験に慣れてしまうと、本番時(ペーパー試験)に若干違和感を感じる
・出題順序はランダム 解答の選択順序も変わっているので面食らう
・合格点は教えてくれないが不合格の場合は解答できた割合を教えてくれる

CSCE

・合格するとその場で合格証明書 CSCE (Certificate for Successful Completion of Examination)を発行
※CSCE はさらに上級の FCC 資格を取得する時に必要
・10日程度で FCC サイト・データベースにコールサインが発給される予定
・1カ月程度でライセンスが米国の住所に送られてくる予定

受験その2

Extra Class受験

・Extra 受験を当初の計画(9月9日の名古屋受験)から大幅に早める
・2012年3月17日(土)横浜の YC&AC(横浜カントリー&アスレティッククラブ)で受験
・Technician/General ライセンスが手元に到着していなが、横浜 VE チームの方に事前確認したところ、受験 OK の確認
・VE 試験官は 19名 受験者は 10名(Extra Class の受験者 5名)国際都市横浜らしく外国人受験者も数人
・今回も落ち着いて解答・・・結果は・・・” Passed ”

ライセンス発給

コールサイン決定

・コールサイン決定
・2012年2月10日ライセンスが発給される(受験から 5日で発行)
・Amateur Extra 取得を機にバニティ申請 新コールサイン 2012/4/14
※最初のコールサインは一度も使用することなくキャンセル

ライセンス到着

・3月20日ライセンス(General)が到着
・大きさはレターサイズ
・常置局用と携帯局用が 1枚プリント(必要に応じてハサミでカット)

記載されている項目
・FRN番号
・アドレス/氏名
・コールサイン
・発行/効力年月日
・プリント年月日
・免許有効期限 ※ 10年間
・ファイル番号
・オペレータクラス
※日本の免許状のように許可された電波型式、周波数帯、送信電力の記載はない

※最初のライセンス(general)を取得後、Extra取得、バニティ申請、住所変更と続いたため合計 4枚のライセンスを受領 2012/5/20

※ライセンスの更新手続きを行わないまま2年が経過すると失効していたが ” Technician Class ” 試験をパスすれば、元のクラスのライセンスが復活できるように・・・2014/7

※2015年2月17日発給分からライセンスはペーパーレス化され、紙ライセンスは廃止となる
ライセンスデータは電子認証(ULS License Manager)で提供される 2015/3/1

QSL Card

QSLイメージ

ためしに QSL カードを作成・・・

初めてのライセンス更新

米国からの運用実績なし

 

残念ながら米国から運用するチャンスなし・・・
FCC ライセンス取得から 10年(FCC ライセンスは 2022年の4月で有効期限満了)
免許切れ 3か月前から更新が可能ということで、久しぶりに ” FCC Universal Licensing System(FCC ULS) “にアクセスしてライセンスの更新を行ってみることに・・・
FRN を使用してに ULS Online にアクセスすると ” This License is eligible for Renewal ” と表示されており、更新可能な状態表示
” Work on this License ” から ” Renewal ” をクリック いとも簡単に更新手続きが完了した (今回は更新に関わる費用は発生しない)

※ライセンス発行や更新の際には $35 が必要(18歳未満の受験生は1回限り免除)
2022/4/19 発給・更新分から